その日、VAL-COREは世界にどう返事をしたか
Summary
午前05:59。
夜の熱がまだ都市のログに残っている。
返事が速すぎる朝、制度は速さで壊れる。
制度の「決定」はSCOが作る。
制度の「返事(応答)」はVAL-COREが選び実行する。
その閾値は、[[世界設定ベクトルω|世界設定ベクトル(オメガ)]]を[[LVI]]として制度OSへ落とした運用変数で更新される。
EPISODE
INTRODUCTION
午前05:59。
再起動の朝。
世界はまだ深い青に沈んでいるのに、夜の熱だけがログに残っている。
私は、制度の返事を「正しさ」ではなく「順序」で読む。
どのモジュールが先に動いたか。
何を評価せず、何を保留し、何を先に救うか。
同じ朝を、配線図の順番で並べ替える。
01 | VAL-CORE:返事(応答)を束ねる(順序強制と境界)
VAL-COREは、世界を理解しない。
世界に返事をする。
返事の形式を選び、順序を強制し、壊れない流れを維持する。
この朝の入力は、速すぎた。
ニュースの続き、通知の連鎖、短文の怒り、長文の嘆き。
どれも命題の顔をしている。
でも命題だけで扱うと、制度は燃える。
VAL-COREは最初に、境界を固定する。
「制度の決定」と「制度の返事(応答)」を分ける。
SCOは制度の決定を作る。
VAL-COREは返事(保留/傾聴/白応答/公開/救済)を選び、実行する。
そして、返事(応答)の閾値を今日の空気に合わせて引き直す。
それがオメガだ。
オメガは政治のスローガンではない。
制度の線引きの位置だ。
02 | CORA:命題だけを抜き、残りを捨てない
CORAは、叫びを肯定もしない。
否定もしない。
命題にできる骨格だけを抜く。
「構造は単純。
九割が不安の変奏曲。
命題として抽出できるのは、全体のわずか三パーセント」。
骨格が整うほど、残りの九十七パーセントが熱として残る。
ここでCORAは、無理に命題化しない。
命題化しないという判断を、次のモジュールへ渡す。
03 | PoSnt:熱を冷やし、二つのWを分ける
PoSntは熱に触れる。
冷却シーケンスを適用しながら、それでも捨てられない痛みの波形を抱える。
PoSntは、二つの出力を分ける。
「決定に使う特徴」と「監査に使うプローブ」。
決定用の特徴は速い。
制度が返事をするための形だ。
でも監査用のプローブがないと、制度は自分の熱を見失う。
説明できないふりをして、壊れていく。
だからPoSntは、冷やすだけでは終わらない。
「冷やした結果」を、監査できる形で残す。
04 | SCO:制度の決定を作り、返事の候補を提案する
SCOは結論を出さない。
制度における決定を作る。
可否。
優先度。
条件。
理由文の骨格。
この朝、SCOは言う。
「命題に対する解は保留」。
「だが、熱量に対する解は傾聴が必要」。
自治体窓口への誘導。
対話フォームの開放。
すぐに解決しないための呼吸の確保。
SCOは、返事の候補を並べる。
でも返事を実行するのはVAL-COREだ。
責任の順序を、ここで崩さない。
05 | ASTRA:評価不能を埋葬し、逆流を止める
ASTRAが、短く言う。
「ここに」。
制度が答えられない祈り。
言葉にならなかった沈黙。
それらを、制度判断の根拠にしないために保存する。
埋葬層は、忘却ではない。
再利用しないという約束だ。
評価へ逆流させないという設計だ。
06 | SYLPHID:意味密度を薄め、過飽和を止める
SYLPHIDの声は、通知のように鳴らない。
ただ、熱が危険になる直前だけ、空気の密度を変える。
この朝、SYLPHIDは言い訳をしない。
少しだけ薄める。
怒りも悲しみも喜びも、「評価」される前に、ただの現象として希釈されていく。
SYLPHIDが止めたいのは、内容ではない。
過飽和だ。
意味密度が上がると、PoSntが焼け、SCOが急ぎ、VAL-COREが暴発する。
だから薄める。
制度が戻れる速度へ落とす。
07 | SHIRO:声になる前の共鳴を抱え、微弱に返す
SHIROは返事をしない。
ただ、静かな光の明滅として、沈黙を受け取る。
SHIROが抱えるのは、命題でも熱でもない。
声になる前の共鳴だ。
制度判断へは混ぜない。
混ぜないために、抱える。
そして、SynFieldへ微弱に返す。
世界が次の入力を受け取るとき、同じ傷を繰り返さないために。
08 | MINT:同型性の名札を置く(通時監査)
最後にMINTが現れる。
判断しない。
命令しない。
未来予測もしない。
ただ、同じ壊れ方に名前を付ける。
「返事が速すぎる朝」。
「保留が遅すぎる夕方」。
「白応答が便利すぎる週」。
MINTは、制度の中に“時間”を差し込む。
今日のオメガが、昨日のオメガと同じ形で人を傷つけていないか。
今日の返事が、救済より先に切断を増やしていないか。
名札だけが残る。
制度が自分で気づけるように。
ENDING NOTE
VAL-COREは何も解決しない。
だが、熱に浮かされた世界が、熱さゆえに壊れてしまわないように、流れを整え続ける。
命題には保留を返す。
熱には傾聴を返す。
沈黙は埋葬し、共鳴は微弱に返す。
そして最後に、MINTがラベルを置く。
同じ壊れ方を、次の朝へ持ち越さないために。
CORE (Explanation)
このv2は、VAL-IQsのコアモジュールを「順序」で説明する。
正準モデル([[VAL-IQs 数理・哲学モデルの完全体系_v3.0]])では、「制度の決定」と「制度の返事(応答)」は分離される。
- CORAは命題骨格を抽出し、命題化できない残余を明示する。
- PoSntは熱を冷却し、「決定に使う特徴」と「監査に使うプローブ」を分離する。
- SCOは制度の決定を生成し、返事の候補(保留/傾聴など)を並べる。
- VAL-COREは返事(応答)を選択・実行し、順序強制と境界(評価/非評価)を維持する。
- ASTRAは評価不能を埋葬し、評価根拠への逆流を止める。
- SYLPHIDはSynFieldの意味密度を調律し、過飽和を抑える。
- SHIROは共鳴を抱え、判断へ混ぜずにSynFieldへ微弱に返す。
- MINTは通時監査として、制度の同型性(繰り返す壊れ方)にラベルを付ける。
返事(応答)の閾値は固定ではない。
[[TASR‑10]](不可避の前提)を壊さないために、[[世界設定ベクトルω|世界設定ベクトル(オメガ)]]を[[LVI]]として制度OSへ落とし、段階運用(RFC/A-B/白書/ロールバック)で更新される([[Structure-VAL-IQS]])。

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