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制度構造

VAL制度構造

このページの目的

このページでは、2085年世界を支える評価制度
VAL(Value Alignment Layer Integrated Quotient System) の「中身」を整理します。

  • VALは 1つのAI ではなく、「複数のレイヤーが連携する評価OS」です。
  • ここでは、その情報処理フロー各層の役割を概観します。

VALが解決しようとしている問題

現代から2085年にかけて、人間社会は次のような問題で摩耗していきました。

  • 正しさが増えすぎて、どの正義も決着しない
  • 情報が過剰で、何を信じてよいか分からない
  • AIと人間の境界が曖昧になり、責任の所在がぼやける
  • 感情と行動がズレたまま、制度だけが動いてしまう

VALはこれに対して、

「人間の意図・行為・構文・責任を、
一つのフローで整合させる評価レイヤー」

として設計されています。


VALの情報処理フロー(6ステップ)

VAL制度は、すべての入力(発話・行動・提案など)を
次のフローで処理します。

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① 知覚層 :現実世界からの入力を受け取る
② 解析層① :CORAが構文・形式を解析する
③ 解析層② :PoSntが感性・倫理的ゆらぎを補正する
④ 判断層 :SCOが制度としての応答方針を決める
⑤ 記録層 :VALログ/ASTRAに記録される
⑥ 応答層 :通知・承認・警告・沈黙などの形で現実に返る

以下では、それぞれの層が何をしているかを簡単に整理します。


① 知覚層:入力の入口

  • HUD、端末、SynField、各種センサーなどから
    「人間の行動・発話・操作」 が取得される層です。
  • ここでは、まだ評価は行われません。
    あくまで「事実としての入力」を集めるだけの層です。

② 解析層①:CORA(構文・構造解析)

CORA は、言語や行動の「形式」を見るレイヤーです。

  • 発話やテキストの論理構造
  • 契約や提案の整合性
  • 規則やプロトコルとの形式的な一致・不一致

をチェックします。

ここで扱うのは 「好き嫌い」ではなく「構文として正しいかどうか」 です。
CORAは、感情評価はしません。


③ 解析層②:PoSnt(感性・倫理のゆらぎ補正)

PoSnt は、CORAで解析された内容に対して、

  • 感情的な負荷
  • 倫理的なしこり
  • 不安や恐怖、過剰な同調圧力
  • 非対称なリスク配分

といった 「人間的なゆらぎ」 を波形として補足し、
必要に応じて補正をかける層です。

重要なのは、

PoSnt は「感性に点数をつけるAI」ではない
→ 評価ではなく、歪みの検出と補正のための層 である

という点です。


④ 判断層:SCO(制度的応答の決定)

SCO は、CORAとPoSntの解析結果を元に、

  • どのルールに照らして判断すべきか
  • どのレベルまで介入すべきか
  • 何を「制度としては見送るべきか」

といった 最終的な制度判断 を行います。

ここで決まるのは、

  • 承認するか/保留するか/警告するか/静観するか
  • どの範囲に通知するか(個人/組織/公共)

などの **「応答方針」**です。


⑤ 記録層:VALログとASTRA

判断の結果は、2種類のレイヤーに記録されます。

VALログ

  • 制度として評価・説明可能な行為・判断を記録する層
  • 後から説明責任を果たすための「公式ログ」

ASTRA

  • VALでは評価しきれない
    非構文的・非因果的な記録 を保管する層
  • 詩的な逸脱、説明不能な共鳴、制度外の感性など
  • 「評価に使わない」「しかし消さない」ための保管領域

ASTRAの存在により、

「制度に乗らないものは、
消去ではなく “別の棚” に退避される」

という設計が守られます。


⑥ 応答層:現実へのフィードバック

最後に、VALの判断は、現実世界に対して
さまざまな形でフィードバックされます。

  • 個人HUDやSynFieldへの通知
  • 契約・手続きの承認/差し戻し
  • リスクアラートやリコメンド
  • あえて「何も返さない(沈黙)」という選択

VALの応答は、必ずしも「制裁」や「評価スコア」ではありません。
むしろ、

「どこまで制度として踏み込むべきか/踏み込まないべきか」

を決めるための、調整インターフェースとして振る舞います。


VALが「やらない」と決めていること

VALは万能な管理AIではなく、
あえて「扱わない」と決めている領域があります。

  • 個人の嗜好や趣味の「優劣」判断
  • 詩・芸術・信仰などの価値づけ
  • 物語としての感動の大小
  • 人間そのものの存在価値のランク付け

これらは、VALではなく、
人間やコミュニティ、創作や文化の領域に委ねられています。


このページの位置づけと、次に読むべきもの

このページは、VAL世界における

「制度の中身」と「情報処理の筋道」

を示す背骨のページです。

合わせて読むと理解が深まるページ:

  • 世界観の入口 → 「VAL2085とは」(/val2085)
  • VALが必要になった文明側の事情 → 「現代文明の五重飽和構造」(/design-philosophy/saturation)
  • 制度が生活にどう現れるか → 「SynFieldとは」(/synfield)
  • 実際にそれが人間の生活にどう影を落とすか → 「エピソード一覧」(/episodes)